元越山
この写真は、大分県佐伯市木立地区公民館発行の「元越山ガイドブック」の表紙である。元越山は国木田独歩が大好きな山の一つであることを知り、どのような山であるか確かめようと、昨年(2020年)の12月に登山を試みたが、運悪く、その直前でカメラが不能となり、写真は1枚も撮ることが出来なかった。そこで、この「元越山のしおり」の発行元:木立地区公民館 館長 安部幸一様のご了解を得て、ここに掲載させていただきます。
2021年5月21日には再びお電話をいただき、温かい激励のお言葉をいただいて本当に有難うございます。
以下、その時の登山記録である。
思えば、昨年(2020年)はベートーベン生誕250年
今年(2021年)は国木田独歩生誕150年
みんなで祝おう7月15日
YouTube 配信のオンライン「国木田独歩生誕150年を祝う記念行事」をご覧になる場合
次をクリックしてください。7月15日同時配信以後、いつでも、どこでも、誰でも
ご覧になることができます。
【田布施町観光協会 公式You Tube】
https://www.youtube.com/channel/UCfXgFgjtTALfCqQ7s3H3Z_w/featured
田布施では、7月15日(木)田布施町商工会館サリジェで記念行事を行います。しかし新型コロナウイルスのため、県外からのご参加はご遠慮願います。
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お陰様で「国木田独歩生誕150年を祝う記念行事」は、独歩が「我がふるさと」と読んだ田布施の地で、無事終了しました。コロナウイルス対策で、定員40名の用意をしましたが、満席となる盛会で、実行委員一同有り難く深く感謝しています。有難うございました。
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「山林に自由存す」と詠う独歩は自然、特に山が好きであった。独歩が「我が故郷」と呼ぶ山口県の田布施町にいた頃は、仮寓の裏にある小山や近くの高塔山(独歩は高叫山と呼ぶ)などに弟の収二や近所の子供らとよく登って詩の朗読をしたり、読書をしたり、時には収二を聴衆者として演説の練習をしていた。
佐伯では下宿の裏にある城山に弟と登って、詩を詠吟したり、読書をしていた。その下宿の窓から沖を見ると、川を隔てた山の向こうに元越山(581.5m)が望める。毎日眺めているうちにあの山に登って見たいという願望が高まった。
ある朝、番庄川の船頭に呼び止められて渡し船に乗り、川を下り、茶屋ケ鼻を過ぎると1時間あまりで木立地区に到着した。わらじ、脚絆などの身支度をしていよいよ憧れていた元越山への山旅が始まる。その時の辺りの様子を「元越山はるかに黄金の海を限り、疎林・孤村その間に点在し」と独歩は「元越山に登る記」に記している。
独歩が辿った道を是非自分も歩いてみたいと思い、2020年12月16日に実行する。朝、独歩が良く登った城山に登り、下山してすぐ麓の独歩館(独歩が下宿していた旧坂本家)を訪問。独歩が生活したままの間取りや展示品を見せてもらう。裏庭では「独歩がこの階段を登って城山へ通った」との説明を受ける。ここで写真を撮影していた時にスマホが動かなくなった。最悪だ。前の「城下町観光交流館」で貸し自転車を借りて佐伯駅まで帰る。
昼食後、佐伯駅からバスに乗り、木立地区の岡バス停に立つ。「これから1.7km」と表示してある。
12:30田圃の中の道を迷いながら歩いて12:56に登山口に到着。そこには「山頂まで3.2km」の案内板がある。(写真が撮れないので、登山メモのみ記す)
歩き始めて尾根を登っていると、1:13に3人の若い男性が下るのに出会う。
1:30 2番目の尾根 1:35展望台 椅子、お地蔵さん
1:43「元越山道⇒」1:53歩きやすい尾根道(綺麗に草が刈ってある)
独歩が登った時は、このような登山路はなかっただろうし、正しいコースを知らず、我武者羅に、悪戦苦闘して登ったようである。
2:04地蔵 (見晴らし良し) 2:12「元越山 登山道⇒」「下山道←矢印」
2:15「右へ40m登山道」 2:26尾根道「元越山登山道⇒」
2:31「山頂まであと900m」 2:34尾根道へ
2:35「山頂まであと800m」 2:37「山頂まであと700m」
2:40「山頂まであと600m」尾根へ 1:42これより急降下
2:43 鞍部 2:44「山頂まであと500m」 2:47休憩用のベンチ
2:48「山頂まであと400m」 2:52「山頂まであと300m」
2:54「山頂まであと200m」また下る 2:57「山頂まであと100m」
3:01元越山山頂に立つ。一等三角点 強風でゆっくり出来ない。(上り3時間)
山頂には1m四方の石碑、側面には東西南北の景色説明、上面には次の文がある。
「山嶺達したるときは四囲の光景余りに美に、余りに大に、余りに全きがため感激して涙下らんとしぬ。ただ名状し難き鼓動の心底に激せるをみるなり、太平洋は、東にひらき、北は四国の地、手にとるがごとく近くに現われ、西及び南はただ見る山の背に山起り、山の頂に山立ち波のごとく、潮のごとくその壮観無類なり。最後の煙山ついに天外の雲に入るがごときにいたりては······」
国木田独歩「欺かざるの記」より
3:05下山開始 3:23「山頂まであと800m」下山に際してはメモを取らない。その理由はスマホも何もなく、今ここで滑って怪我でもしたら、翌日までそのまま? 登山道が非常に荒れていて、注意を要する。時間の余裕がない。
山道をどこまで下っても、右側の谷を見れば、はるか谷底まで杉、ヒノキの幹が直立している感じで、山の威容に驚く。
3:34車道横断 「麓まであと2km」 4:30登山口に無事到着。(1時間半)
これからバス停までの道が分かりにくい。途中で出会う人に2度尋ねるが、結局次のバス停の近くまで行って、国道を後戻りすることになった。
ところが、もう最終バスが出てしまって困惑。スマホも故障。バスの時間を尋ねたバス停留所のご親切なご婦人に「佐伯駅の近くに用事があるから連れて行ってあげる」と本当に有り難いお言葉を頂戴する。将に救いの女神である。どのようにお礼をしてもしたりない。
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