初めて見る祝島神舞

2008

8月16日(土曜日)   

 今日は2008年祝島神舞の初日、入船神事の日である。旅館や民宿には空室はないということで、キャンプの用意を

して室津港6時発の1番便に乗る予定で出かける。幸い海は凪である
 室津港の臨時駐車場は既に殆ど満車の状態だった。早く着いたので、5:45発の船に乗る事が出来た。お祭りだから

今日は臨時便が出るようであるが、船中は帰省客と観光客で超満員。6:10に祝島に無事到着する。港は多くの出迎え

の人と乗船客で大賑わい。お盆と4年に一度の神舞なので、人口は普通の年よりもはるかに多くなっている。
 問い合わせの電話では、港にキャンプ希望者の住所氏名など記入する所があると聞いていたが、張り紙のみで、まだ係

の人は来ていないし、記入の帳簿もない。しばらく港で待ちながら朝食をとる。そのうちに軽トラックが来て、記入用の

帳簿とキャンプの注意事項を印刷した用紙を置いてさっと行ってしまった。
 係の人がいないので、質問もできない。テーブルの上に置いてある帳簿に必要事項を記入し、「キャンプ場ご利用の際

の諸注意」というプリントを貰う。案内地図に従い臨時キャンプ場の祝島小中学校グランドを目指して坂を登る。途中で

出会った島の人に道を確かめると、「この階段を真っ直ぐに登ったら行けるよ。 階段が長いから気をつけて」と大きな

ザックを背負って登る私たちに同情気味である。

  7時にキャンプ場に到着する。そこには10張りばかりのテントがあり、既に前の晩からのお客らしい。幸い芝生がこんもり

した盛り土の場所が空いていたので、テントを張り、しばらく休憩する、
 テントに荷物を置き、サブザックに飲み物や弁当を入れて島の散策に坂を下る。有名な石を積んだ練り塀の路地を通り、先ず

神舞の場所を訪ねる。神舞小屋(仮神殿)は大きな丸太を縄で縛って組み立てたもので、島の男の力に圧倒される。8月7日から

柱立て、舞台作り、屋根の苫葺き、飾り付けと計画的に力を合わせて準備したようだが、目の前の仮神殿や鳥居を見ると、島の

人口は少い上に、高齢化した状態で良くこのように出来たものだと驚くばかりである。
 立派に飾った白い鳥居の所から波止に出てみると、広い埋め立て地の向こうに人が集まっている。岸壁に櫂伝馬船が2艘繋が

れている。9:30こぎ手や可愛い「さいへい」(菜幣)が乗り込む。船尾には「けんがい」(剣櫂)が大きな酒樽に上がって

舞いの練習をする。こぎ手は島の人だけでなく、広く希望者を募ったようだ。全員が揃うと練習をして、9:45に出発する。

一斉に太鼓に合わせて歌い、船首の「さいへい」と船尾の「けんがい」は歌に合わせて舞う。「さいへい」はどちらも小学生と

いうことだが、良く練習して自信満々である。波止の内をゆっくりと1周回ると外海に出る。このとき10:00で花火が上が

る。先に出発した誘導船は沖で待っている。港からは次々に大漁旗を飾った奉迎船が出て長い隊列を組む。波止の外に勢揃いし

た船団は沖をぐるっと回って、島の西側にある三浦湾を目指す。

 本浦を出発した船団は、三浦湾で49km離れた国東半島の伊美港を9:00に出港した別宮社の3艘の御座船を出迎える

のである。12:00から三浦荒神祭の神事。13:00三浦港を出発の予定になっている。
 13:30花火の合図で入船神事の船団が本浦に近づいて来た。波止や港周辺で入船神事を見ようと待機している人々の沖

を、櫂伝馬船を先頭に、御座船やお供船がきちんと隊列をくんでゆっくりと3周する。
 14:38波止の内に入ると2艘の櫂伝馬船はゆっくりと内側を1周して観客の喝采を貰う。その間に御座船が到着し、太

鼓、三味線などの鳴り物入りのシャギリが神様や神官達の上陸をお出迎えする。
 14:30小雨がふり始め、波止にいた観客は仮神殿の方に移動を始める.。15:00シャギリ隊の先導で神様や神官達の

行列は雨の中をゆっくりと仮神殿に向かい、鎮座祭が始まる。仮神殿の屋根は苫葺きなので、雨がひどくなると、ぽたぽたと

雨漏りが始まる。少しずつ雨漏りをよけていたが、段々時間が経つとゴザも濡れてきて、一人、二人と観客が立ち去り始める。

私たちもテントの様子が気になるし、居場所がなくなったので、途中で退散して、テントへ戻った。
 夕食を食べていると、雨が上がり、お天気になったので、夕方の祝島散策に浜の方へ下る。港周辺の道端ではあちこちで水

の入ったバケツを用意して花火を楽しんでいる。「ええ雨が降ったのう」と雨を待ちこがれていた島の人々は神舞が雨を持っ

てきてくれたと喜んでいる感じである。

 8月17日(日曜日)

  夜半に可成り雨が降ったが、幸い翌朝は良いお天気である。朝食を済ませて、テントをザックに仕舞い、神舞を見に行く。

神舞の準備は8;30に始まる。地面が湿っているためか、今日はゴザを敷いてない。観客は全員立ち見である。
 舞台は上手(右側)の神棚がある方の奥に里楽師が勢揃いして笛や太鼓を構える。神楽の演題は芝居と同じように柱に吊り

下げてあり、一つの演題が終わると、次をめくるようになっている。1番目は「一番神楽」、5人でする地味な舞いであった。
2番目は「花神楽」で、一番神楽と同様、裃に袴姿の5人がそれぞれ左手に小箱を持ち、時々花吹雪を飛ばすような舞いであ

った。3番目は1人でする「結開(けっかい)」、4番目は2人による「手草(たぐさ)」。5番目は4人による「四豆手

(よつで)」であった。ここで10:15〜10:30の休憩になる

  休憩後は、6番目の8人による「大神」、7番目は1人の神主が神棚に向かって行う「祝詞」。8番目は1人の「神主」。

9番目は1人の「荒神」であるが、実際には8番と9番は連続のような感じである。神主が先に舞台に上がっていて、そこに現

れた赤い天狗の面を被った荒神が神主に反抗したり、暴れたりして困らす。色々な仕草があって見ていて楽しい。最後には神主

に従うようになるという素晴らしい神舞であった。
 ここで「上関航運の昼の便は12:00出発です」というアナウンスが聞こえたので、早めに乗船場へ向かう。運良く室津行

きの直行便に座れたので、凪の海を楽しく帰ることができた。初めての祝島、目を見張るものばかりで楽しい想い出になった。
 

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