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「蒜山」と言う漢字を見て、正しく読めるのは、山に関心のある人や中国地方で蒜山の近くの人以外には余りないのではなかろうか。ノールウエイ語で「ヒルセン」とは「変わらぬ友情」を指すということである。この山は大山(だいせん)の南東、鳥取県と岡山県の県境に位置し、上蒜山(かみひるぜん)、中蒜山、下蒜山の3連山で構成されている。
以前より蒜山の三山縦走に魅力を感じていたのであるが、中々その機会がやってこなかった。この度ようやく永年の夢が叶うことになった。2005年4月9日から10日にかけて私達の山岳会仲間21名でマイクロバスを使っての山行きである。 9日は徳山駅前を8時に出発し、昼食は津山城址で最高の人出と桜の中で、ゆっくりと花見を楽しむ。「願わくば花の下にて春しなん。その如月の望月のころ」と詠んだ西行法師の気持ちが分かるような雰囲気であった。その後、神庭の滝を見物して宿に入る。 10日は宿を出ると犬挟峠の下蒜山登山口(514m)を8時25分に出発する。駐車場から車道を横切って、余り人が歩いていないような山に入る。先頭のリーダーは「この道ではないのでは?」と不安げな様子であったが、「蒜山、烏ガ山(からすがせん)へ通じる」というような古い案内板があったので、そのまま道なき道の急登を西へ向かってよじ登る。 |
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しばらく尾根伝いに登っていると、8時45分頃きちんと整備された登山道が左下側から上っているのに出くわした。「こちらから登れば、あのような急登を草をかき分けて登らなくてもよかったのに」そこには立派な標識もある。道幅は1m以上もあり、階段もある。この良い道を更に進んでいると、マウンテンバイクを突きながら登って来る若者が我々のグループを追い抜いて行く。「さすが若者は違うな」と言う声が出る。おそらく皆そのように感じているに違いない。以前マウンテンバイクをかついて富士山に登っている若者に出会ったことがあるが、いつの時代にも縦走を考えれば、このような登山があるものだ。
9時15分に5合目の標識を通過する。しばらくして涼しい風の中で小休憩。そこから5分ばかり歩くと雲居平(854m)という標識の所に到着する。行く手にこれから登る下蒜山の美しい姿が見える。あそこまで行くにはまだまだあるぞ。 |
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9時30分に7合目に到着する。雪の上で小休憩をする。このあたりはもう尾根より北側は厚い残雪で注意して歩かないと滑落の恐れがある。9時43分に8合目、9時53分に9合目を通過する。10時8分に第一の頂上、下蒜山(1100m)の頂上に立ち、10分間の休憩をする。たまには自分も登場しようかと、ここで自分の写真を1枚撮ってもらう。 | |||||||||||
下蒜山を10時18分に出発し、はるか彼方に雪を冠って聳える中蒜山を目指す。手前の草原の中を行くコースは楽しいハイキング気分で歩ける。しかしそのピークを過ぎれば、また下の「ふんぐり乢(たわ)」(800m)まで下らなければならない。「下に降りるのは勿体ない」と皆が思っているのだろう。誰が言っているのか、声が聞こえる。どこの山でも縦走すれば登ったり、下ったりの繰り返しである。しかし急な下り坂で積雪があれば、滑らないようにしようと気を使う。このように足場が悪いので、我々を追い抜いて行った若者は、とうとう縦走を諦めて自転車をかついて下蒜山登山口の方へ引き返して行った。
11時30分に985mの地点で休憩する。11時44分比較的平らな尾根で再度小休憩。これより中蒜山への急登が待っている。12時4分に塩釜冷泉への分岐点を通過。ここから中蒜山登山口の方に下りることもできる。しかし私達は三山縦走だから、途中から下りるようなことはしない。もうすぐ中蒜山だ。中蒜山の山頂(1122m)到着は12時15分であった。昼食に丁度良い時間であり、お腹のすき具合も最高だ。それだけに中蒜山の頂上に到着したら、自然に万歳を叫びたくなるのだろう。到着した者から自然と「万歳」の声が上がる。ここで昼食、休憩ということになり、コンロを使用する者は避難小屋に移動する。 |
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昼食が終わると、再び中蒜山頂上の標識の所に集まり、写真を撮ったり、万歳三唱をしたりした後12時50分に出発する。避難小屋の所から北西の方向に下って行く。はるか彼方に上蒜山が雪を冠って聳えている。ツツピー、ツツピー、ツツピーとヤマガラが鳴いて一行を歓迎してくれる。1時6分按部と思われる地点まで下ってきた。1時35分積雪のピークで休憩をする。ここで雪上の集合写真を撮ろうとしている所を1枚の写真に納める。1時57分に上蒜山と上蒜山登山口との分岐点に到着する。 | |||||||||||
分岐点から上蒜山に登って叉この地点まで引き返すことになる。上蒜山頂上(1202m)到着は2時5分であった。そこで5分ばかり休憩をした後、再び分岐点に戻ったのは2時18分であった。これからは少しはアップダウンがあっても、もう殆ど下りである。2時40分に8合目標識に到着。ここは比較的平らな地点で後方には雪山が霞んでいる。ここでもう1枚のスナップ写真を撮る。これからはもう下りである。下りは楽ではあるが、滑らないように気をつけなければならない。 | |||||||||||
6合目(960m)に到着したのは3時だった。5合目(935m)通過が3時5分、3合目(820m)3時16分であった。ここに3地点の高度を示したのは、コースがどの程度なだらかで歩きやすいかを知っていただく為である。3時35分にはこの最後の写真に見られる放牧場に下山する。登山道の標識と柵がある地点に無事に帰ったのが3時40分であった。
マイクロバスを運転するサブリーダーは人足先に下山して、ここからタクシーで下蒜山登山口までバスを取りに行ってくださっていたので、3時46分にはもマイクロバスが戻って来た。 一行は出発の支度をしてバスに乗り込み、蒜山八束温泉に入浴して美男美女になる。2名の名ドライバーの安全運転のお陰で途中のサービスエリアで夕食を採り、ゆったりした気分で楽しかった山歩きの想い出に耽ることができた。良い山仲間とこのように楽しい山行きができて本当に幸せである。感謝、感謝。 |
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